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ひまりといる時のモカについての話

 

以前にTwitterに投げたことのある仮説の中で、「モカはひまりがそばにいる時どこまでも『モカちゃん』でいられて、それは一つの落ち着ける形なのかもしれない」とか書いていたんですが、最近になって地味に裏付けされてきたのでその覚書をしておきたいと思います。

何分覚えている内に書いておかないと本当に忘れるので……

 

という訳でどういう訳で、記事の中で複数のイベスト及びカードエピソード、その他諸々の内容をダイナミックにネタバレしています。

 

twitter.com

 

前述の仮説とやらのモーメントがこれになります。

投稿の日付が2018年の4月です。いつの間にやら2年経っていました、月日が経つのは早いですね。まさかまさかの驚きでまさかり担いだ金太郎になりそうです。

金太郎はどうでもいいのでさておきまして。

前述のモーメントがこれから繰り広げようとしている話の前提条件となってしまうために内容を簡潔に打ち明けますと、モカが表に出す素直さの度合いが相手によって割と異なるのはどうしてかという疑問を、一番顕著な蘭とひまりという二人が相手の場合を例にとって読み解いてみよう、というそういう妄想の話となっています。

 

この妄想の中間をばっさり端折って結論を抜き出しますと、

モカは基本として素直じゃない天邪鬼な性格をしており、

②蘭に対しては不器用で愛くるしい同類として、

③ひまりに対しては天邪鬼として安心して素顔を隠したまま一緒に居られる相手として接しているために、

↪︎そういう態度になっているのではないか、という着地点になっています。

前述のモーメント及びこの記事の中では①の、『天邪鬼な自身の姿を意図的に象った、【いつも通り】のモカ』のことをイコールで『モカちゃん』と記しています。

また、今回話題にしようとしているのは③の内容についてになります。

という訳で、③の内容を先に少し補完した上で、記事冒頭の「最近になって裏付けられてきた」点についてを書いていこうと思います。

 

ではまず早速③の補完、具体的には『安心して素顔を隠したままで』という部分の話です。

『素顔を隠したままで』と言うとともすれば『相手を騙して嘘ついて日々過ごしているのか?』といった具合に悪い意味で受け取られてしまいそうな表現なんですが、これをより正確に直すと『自分が表現していたい姿で/理想としている姿のままでいられる』、モカに当てはめて直せば『いつも【モカちゃんのままで】いられる』、という形になります。

世間一般に『素顔を隠さず過ごすこと』は広く美徳として捉えられがちですが、実際一面として美徳ではありつつも、しかしながらに必ずしも美徳一辺倒でもなかったりします。

どういうことかを端的に表すと、世の中『いつ如何なる時でもすっぴんのままでいられるのが解放的で一番だ』という人もいれば、『わざわざすっぴんを衆目に晒すなんてこと断じてしたくない』という人もいる、という形ですね。

どちらがより広く理想的であるかという話では決してなく、単純に価値基準も考え方も人それぞれなのでどちらの人も存在するし存在していい訳ですが、兎にも角にも『晒したいと思わない部分を晒さなくていい』というのは非常に楽で、救いのあることです。

ここで果たしてモカはどちら側に属するのかを改めて掘り下げてみますと、イベスト「それぞれの道、結ぶ茜空」では満を持して作詞を披露したモカですが、一方で作中の時間軸でとてもざっくり括って一年前(多分)となるリサ姉の歌詞作りイベ「いつか届け、アタシの詩」では、『モカちゃんも作詞は苦手なんで~』と零していて、尚且つ同イベスト内で『Afterglowの曲の歌詞は、蘭の心の叫び』と評しています。

これらの「歌詞は心の叫び」「作詞は苦手」という二つの言葉はジグソーパズルのピースの如く容易に結びつくところで、モカがどちら側に属する人間なのかは、(素直じゃないという時点でそもそもではあるものの)明瞭な事柄と思われます(だからこそそんなモカが作詞を披露したことが果たしてどれだけの意味を持つのか……というのはモカの変化を語る上では重大なポイントになるものの、話の本筋からは脱線するためにここでは割愛します)。

あるいはそういえばの話、モカのフェス限におけるカードエピソード前後編なんかはモカがそういう人間であるとド直球に描いた話だったので、もはやこうやってあれこれ考えることすら野暮なのかもしれません。

そういう人間にとって、常に在りたい自分でいられる/そういった自分に立ち返れる相手の存在が、どれ程大きいものか。想像に難くありません。

この後の内容でも触れていきますが、ひまりと一緒にいる時のモカは、常にマイペースな『モカちゃん』なんですよね……

 

 

と、以上の内容が③の補完でした。

そして以下が、この2年前の仮説について、最近になって出てきた裏付け要素の話になります。本筋に辿り着くまで長かったですね。

という訳でここから複数のイベスト及びカードエピの内容の本格的なネタバレもとい個人的に気になったタンマストップ立ち入り禁止なポイントを実況していきたいと思います。全部書き連ねるとただでさえ既に長い話が本当に長くなるのでケース①~③くらいにまで絞って書いていこうと思います。

 

そんなこんなでまずはケース①、イベスト「Stand by you!」より。

オープニングからして、リサ先輩みたいな先輩になるんだと意気込むひまりに別に目指さなくてもいいんじゃないかと諭しながら、

 

――「ひーちゃんにはひーちゃんの良さがあるんだからさ~」

 

とか儚いセリフを飛ばしているモカなんですが(肝心のひまりには「絶対無理だって思ってるー!」ってただ茶化されたと思われている辺り、本当にモカの日頃の言動……となります)、エンディングにおけるモカのひまりに対する言葉を鑑みると、このオープニングの言葉もより趣が異なってきます。

というわけで、件のエンディングのモカの発言が、次です。つぐの始めた『ひまりがいて良かったと思うこと』の話に続いて、あるいは乗っかって、モカも同様のことを話し始めます。

 

――「確かに、ひーちゃんがいてくれて良かったと思うことはあるよね~」

――「何かあっても、ひーちゃんが大騒ぎするから、逆にあたしは冷静でいられて、ホント助かってます」

 

……この発言、それは褒めているのかとひまりは反応するんですが、純粋な褒め言葉とは違ったとしても、紛れもなく『モカにとってひまりがいてくれて良かったと思う話』なんですよね、きっと。

バンスト1章で蘭に自分の泣いた話を出された時に「あたしの泣いた顔は忘れてほしいなー」なんてことを言ったくらいに、故意に見せるのとは違う、本当に格好悪い姿を晒すことに抵抗のあるモカが、「逆にあたしは冷静でいられて、ホント助かってます」(イコールで「隣にいるとマイペースさを保てる」)と発言することはつまり、逆説的にひまりと一緒にいる時のモカは常に『モカちゃん』だと言っているのと同義なんですよね……

そしてこの時のモカの発言が、他ならぬ本心だと考えられる裏付けの言葉が、なんとアフロバンスト一章で出てきます。裏付けの裏付けです。

アフロバンスト一章第4話、ガルジャムの話で浮足立つメンバー(モカさえも「ソワソワ、ムズムズする」と言っている)に対して、ひまりが意外にも冷静だった時のモカの言葉です。

 

――「ひーちゃんがテンパってないとなんかヘンな感じするなあー。ひーちゃんもムズムズさせてやる~。ほらほら、ムズムズ~」

 

少なくとも一年(あるいはほぼ間違いなくそれ以上)前から、『ひーちゃんがテンパってないとなんかヘンな感じする』なんですよね……

こうやってそんな発言をしてたことなんて誰もが忘れた頃、不意にそれを伏線みたいに回収して感情の本気度を人知れず重ねてくる辺り、本っ当に青葉さんって感じがします。儚い……

 

以上の内容を踏まえた上でここからはケース②、イベスト「それぞれの道、結ぶ茜空」の実況です。

不穏なOPを越え、イベントストーリーとしては始まりである第一話、触れる内容的にはほぼ全てである第一話について拡大解釈を繰り広げていきます。

 

モカが学校終わりの寄り道を提案し、作品作りに専念したいという蘭を除く4人でファミレスに集まり歓談した、その帰り道。

明日以降のパンがないからとやまぶきベーカリーに寄りたいというモカの希望の下、パンを選ぶモカの発言です。

 

――「ん~、食パンもいいし、メロンパンも捨てがたいな~」

――「ひーちゃん、どのパンがいいと思う~?」

 

何気ない場面ながらに、連日の寄り道を提案したりと少しずつ様子のおかしさを見せるモカが、『何かしらに迷っている場面』で声を掛ける相手としてひまりを選んでいることを考えると、どことなく意味深にも捉えられます。

その時何を選ぶのがモカちゃんらしいのか、それすらも見失っているような場面であることが次のひまりの言葉で分かるんですが、それというのが、

 

――「もぉ~、モカ、いつにも増してゆっくり選びすぎだよ~」

 

……この言葉なんですよね。

モカの『いつも通り』を本当に分かっているからこその『いつにも増して』だと思うんですが、そういうところからひまりがずっとモカの『モカちゃん』振りを見せられているであろうことを窺い知れて、そしてまた反証的にモカが『いつも通り』ではない精神状態だとも分かって、尚且つそういう時にひまりにまず声を掛けているとも分かるんですよね……儚い……

 

そして第一話最大の山場である、モカが宿題の締切日を間違えるシーン。

つぐと巴と別れた後の、ひまりとモカの応酬です。

 

――「モカ、宿題の締切勘違いするなんて珍しくない?」

――「そうだっけー?」

――「ちょっとモカ! 何か隠してない?」

 

……つぐも巴も、それぞれにモカの様子がおかしいとは感じているものの、ここで、その場でモカを問い質そうとする程の違和感を覚えているのがひまり、というところがとても儚いです。

また、加えてエモいポイントとして、ひまりって多分そういうことには鈍感な方なんですよね。

それは井ノ島イベで巴の井ノ島に行きたい気持ちを全く察しなかった(つぐは気付いたにも拘らず)ところや、カードエピソード「モカとひまり様」においてモカから直球で「空気読めない」と(悪い意味ではないにしても)言われている辺りからもきっと確かなことなんですが、それでもモカに『何か隠してない?』って詰め寄るんですよね…

恐らくこの場面においては、ひまり・つぐ巴とで、それぞれに覚えた違和感の大きさがきっと異なっていて、勿論つぐと巴の覚えている違和感も絶対に大きいものであるんですけど、ひまりの抱くそれは、恐らくもっとずっと大きいんですよね。悩みを問い質すという思い切った行動の理由/動機に、大事な友達のための行動=Stand by youという伏線はあれども、それ以外の事柄ではそうまで動かなかったひまりだから、恐らくは。

そして同時に、モカが最も『モカちゃん』として振る舞っている相手がひまりであろうことも、ひまりがそれだけの違和感を覚えるというところから窺い知ることができます。

 

また、そうやって問い質し迫るひまりに対して、「やだなあ。モカちゃん、生まれてこのかた隠し事なんてしたことないよ~」なんて、尚も誤魔化して躱そうとするモカの言葉への、ひまりの反応も儚いです。

 

――「またそういう事言うんだから~! 何か悩み事とか? 私、相談に乗るよ?」

 

……『またそういう事言うんだから』なんですよね、ここ。

1年生時の夏休みでの出来事の一幕を描いた星3モカ・学園七不思議カードの左エピ「モカのこわいもの」でもひまりが全く同じことを言う場面があって、如何にモカが毎度毎度そういう発言をしていて、且つひまりが笑って許してくれることにどれだけ甘えているかが窺い知れて、大変に儚いです。

そしてひまりの方はひまりの方で、そうやって簡単に許せてしまう辺りモカのことが凄い好きそうです。この緊迫した場面でもモカの誤魔化し発言をあっさり流して『相談に乗るよ?』って話を進めている辺り、完全に「モカだからいっか」で受け止めて済ませていそうです。ただの諦観だけでそんな境地には普通達しない、もとい諦観由来なら得てして徐々に嫌悪方面に転ぶと思うので、モカに抱く好意による感情の上塗りは間違いなくありそうです。多分。

 

そんなひまりの言葉にも「本当に何もない」と返すモカに、ついに声が大きくなるひまりの発言が、次です。

 

――「何もないわけない~! モカ、なんだか変だよ!」

 

『何もないわけない』と断言できるひまりの発言の内容もさることながらに、この『なんだか変だよ!』のところで、モカが驚きの表情に変わるところも儚いんですよね。

ひまりはモカが『いつも通り』じゃないことを強く感じているし、モカも声の大きさだけでなく他ならぬひまりに『変だよ』と言われたということ含めて驚いていそうで……

 

また発言の直後、貶す意味でなくとも『変だよ』と言ってしまったことについて謝って、様子がおかしい理由がモカががんばってくれているからだったらなおさら悩みを聞きたいと説得するひまりに、モカは「そんなことより今週までの宿題……」と切り出そうとして、遂にひまりも爆発します。

 

――「もぉ~~~!! 私はね! 友達を全力で放っておかないの! だから、モカが話してくれるまで帰らないんだからね~!!」

 

……ひまりのこの発言の時、モカは驚きの表情を見せるんですが、手前の「変だよ」と言われた時と同様に、ただ声の大きさだけに驚いている訳ではないと思うんですよね多分。そういう反応が返ってくると事前に分かっていればモカも目を見開いてまで驚かないと思うので、ひまりがモカの誤魔化し発言に対して爆発したのはきっとこれが初めてのことで、だからこそモカもそういう表情になったのではないかと個人的に考えています。仮説に仮説の上塗りです。

というか、怒り方が怖くなさ過ぎる(「話してくれるまで帰らない」……)からなのか、モカの表情、最後困ったような笑みに変わるんですよね……青葉さん、上原さんのそういうところに安寧さや居心地の良さを感じていそうだし、上原さんは上原さんで青葉さんにとってある種罪深い存在っぽい……

 

 また、ひまりの続く発言も、真っ直ぐすぎて逆に罪深く思えてきます。

 

――「しゅ、宿題は終わってないけど! 私にとっては宿題よりもモカのほうが大事なの~!」

 

この「宿題より大事」というのが、ともすれば軽く思えてしまうかもしれないけれど、学生にとってはずっと成績として残る(場合によっては留年だってするし、そうでなくても推薦入試の幅が狭まったりもすれば、両親の態度だって場合によっては変わるかもしれない)重要なもので、且つモカ達が通うのは進学校、となれば決して軽いとは言えなくて、ひまりのこの言葉は『自分の将来の可能性や揺らぐ評価をかなぐり捨ててでもモカが大事』という風にも言い換えられる、本当に真っ直ぐな言葉なんですよね……

 

そしてひまりは、更にモカを説得しようと「モカだって、Afterglowより大事なものなんてないでしょ?」と続けるんですが、その直後の発言の、

 

――「あ! ……ぱ、パンは置いといて!」

 

これに対する、モカの反応がとても儚いんですよね。

 

――「……ぷっ!」

――「あっははー。ひーちゃん、ありがと。これ、あげる」

 

直前まで顔をしかめていたのに、思わず笑ってしまうんですよね、モカ

モカがどうしてひまりと一緒にいる時に『モカちゃん』なのかが、この場面で示されているような気がします。

 

モカに差し出されたものを見て、「これ……さっき買ったパン?」とひまりが言うと、

 

――「そ。なかでもあたしが一番楽しみにしてたパン~」

 

と、モカが笑顔で言うんですよね。

他でもない無類のパン好きのモカが、一番楽しみにしていたパンを。

 

だからこそひまりも諦めて、「本当に話せるようになったら話してね」と声を掛けます。

それに対してモカは、ありがとうと言った後、

 

――「ひーちゃんみたいなお友達がまわりにいて、あたしは幸せ者だなあ~」

 

なんて言います。

そしてひまりは、

 

――「もう、またごまかして。けど、ちょっとだけいつものモカに戻った気がするからいっか」

 

さりげなく、そして恐らく自覚なく、重大発言を零します。

ひまりは「ちょっとだけいつものモカに戻った気がする」と言ったけれど、ひまりの考える『いつも通りのモカ』は、天邪鬼な『モカちゃん』なんですよね……

だからこそ、「戻った」というのはつまり、そういうことで。

 

あくまで拡大解釈でしかなかった『ひまりと一緒にいる時、モカはどこまでも【モカちゃん】なのではないか』という推察が、ここにきて2年越しに、それもモカ発信ではなくひまりの口から直接裏付けられたのでした。まさかまさかの驚きでまさかり担いだ金太郎になりそうです。

いや金太郎はさて置きまして。

 

ひまりが貰ったパンを明日の朝ごはんにするねと言い残して、「また明日」と別れた後。

モカはモノローグの独白で、ひまりには打ち明けられなかった本心を零します。

 

ひまりにそれを言えなかったのは、きっとやっぱりモカがひまりの前では天邪鬼な『モカちゃん』だからで。

逆に第2話で巴に打ち明けることができたのは、巴も言っていたように、あこに対する巴とモカが似ていたからなんですよね多分。巴は蘭に対するモカの意味で言っていたけど、ひまりに言えなかった理由はきっと同じで。結局モカは巴とかっこつけしい仲間であり、だからこそ。

 

いや青葉さん、そういう感じだからエンディングで上原さんに「モカから見えてるもの、もっと教えてほしい」って言われるのでは……?

イベストStand by you!で登場のモカの星3カード「声をあわせて」の右エピで、モカが新人スタッフ相手にひまりへの褒め言葉を語った後、口止めをした後に「こういうのは、ここぞってときに伝えるのがいいと思うので~」とか言っていて、尚且つカードのスキル名も「あたしのタイミング」なんですが、絶対後悔する類の感情の抱き方だと思うんですよね……

実際問題モカの言う「ここぞ」のタイミングは、相手がひまりであるが故に日常生活/いつも通りの延長線上には決して訪れることはなく、モカが『モカちゃん』を捨てざるを得ない何かが起きてから、ないしはそれを伝えたところで最早意味を為さない事態にまでなってからでないと存在し得ないので、ちゃんと平和な内に伝えてあげて欲しいです。ただ一方で、手遅れになってからの話が見てみたい気持ちも個人的にはあります。もとい、公式では流石に来ないと思ったので2年くらい前に書いてました。人間って複雑な生き物ですね。

ともあれ、2周年直前に書いたモカが置いてかれる話(表題:大人になれない僕らの)も公式でそういう展開は流石に来ないだろうと思って書いたので、世の中100日先は分からないと思っておきます。あれは本当にまさかり担いだ金太郎でした。

 

閑話休題、ケース②の話はここまでです。

 

思った以上に長く書いてしまったので、手短になることを祈ってケース③、イベント「それぞれの道、結ぶ茜空」にて登場のひまりの星3カード「芸術に触れて」の左エピ、「飾らず迷わず」の実況です。

 

時間軸は当該イベストの後日、ショッピングモールで一緒に買い物をしているモカとひまり、もといひまりの買い物にモカが付き合っていて、ひまりが2つあるバッグのうちどちらを買うか決められないと悩んでいるシーンから始まります。

ちょっと儚いシーンとして、どっちでもいいじゃんというモカにひまりがよくないと反論し、「モカだって、気になる新商品のパンと限定のパンが並んでたら迷うでしょ?」と言うんですが、これに対するモカが、

 

――「んー、あたしなら、きっと両方買っちゃうかな~」

 

と返していて、イベストの中では食パンとメロンパンのどちらにするかをいつにも増して時間をかけて選んで何とか辿り着いていた結論が、ここではすんなりと出てきているんですよね。

『いつも通りのモカ』が示唆されている辺りが儚いです。

 

閑話休題、ここでもーもー言ってても牛になっちゃうからというモカからの休憩の提案に乗って、ひまりが最近見つけたオシャレなカフェがあるからそこでお茶しようと意気込み、そこから場所は変わってオシャレなカフェ……ではなく、当のカフェがお休みの日だったためにいつものファミレスへ。

「もー!」と牛になるひまりに、モカは言います。

 

――「でもさー、あたしら的にはこっちのほうが落ち着くしいいじゃん」

 

ひまりを慰める意味合いがありそうなものの、しかしながらにやっぱり『いつも通り』が大事そうなモカです。

続くやり取りでも、それに頷きつつも「なんでこう、うまくいかないかなー」と零すひまりに、

 

――「そういうところも、ひーちゃんらしいけどね~」

 

と笑顔で言い放ち、「褒めてないでしょ……」と言うひまりには、

 

――「そんなことないよ~。あたし達みーんな、そのひーちゃんらしさに助けられてるし~」

 

なんて、嬉しそうに言います。

Stand by youで「何かあっても、ひーちゃんが大騒ぎするから、逆にあたしは冷静でいられて、ホント助かってます」と言っていたモカが。

それぞれの道、結ぶ茜空で、ひまりの言葉に思わず笑っていたモカが。

あたし『達』なんて括りながら、助けられてるって言うんですよね。笑顔で。

 

結局宿題が終わらなかったことを、モカやみんなの方が大事だからしょうがないと言うひまりには、

 

――「ひーちゃんは、やっぱりひーちゃんだなー。……次にもしそんなことがあったら、手伝ってあげよー」

 

なんて零します。

モカが言うひーちゃんはひーちゃんって言葉、本当に褒め言葉なんですよね……

 

そしてその後、不意に蘭からグループチャットに送られてきた花の画像と、それに付随してどっちがいいと思う?という問いが来た時。

モカは、パンみたいだからと白い花を選び、ひまりはパンっぽいかが大事なんだと呆れつつも、モカがいつも通りで安心したと言うと、

 

――「安心してくれたならよかったよ~。ひーちゃん、今日は心配して誘ってくれたみたいだし」

 

なんて言って、さりげなく誘ったつもりだったというひまりを驚かせます。

……ここまでも散々書いてきましたが、こういうところから窺えるように、やっぱりモカは『モカちゃん』をひまりに見せているんですよね、きっと。悪い意味とかでは決してなく。

 

そして、そうやって「モカちゃんにはお見通しなのだ~」とか笑いながらも、ありがとうの後に「お礼に今日はあたしがひーちゃんの買い物にいくらでも付き合ってあげよ~」とモカが言うと、ひまりは実はまだ見たいものがいっぱいあったんだとテンションを上げて、そうと決まれば早く行こうと急かします。「何から見ようかなー」なんて言って、笑みを零しながら。

それに対しモカは、蘭に返信してからと冷静に返すも、「なんかさっきよりテンション高くない?」とひまりに突っ込みます。

するとひまりは、無邪気に、ともすれば罪深い言葉を放ちます。

 

――「ふふっ、だって今日は、いつも通りのモカと一緒なんだもん。楽しまないと!」

 

……ひまりの知っている『いつも通りのモカ』を思うと、とてつもなく儚いセリフです。薫くんの使う意味での儚いでもあり、フラジャイルな意味での儚いでもあり。

 

そして、それを受けてモカは、これまた罪深い返しをします。

 

――「まったくひーちゃんは、モカちゃんのことが大好きだな~」

 

……機動戦艦ナデシコですか?

絶対最終話まで自分から好きと言わないやつでは……?

いやナデシコの話はさて置きましても、『あたしのことが』じゃなくて『モカちゃんのことが』なの、儚くて罪深い……

 

更にひまりの返事が、

 

――「うん、そうだよ! モカは、私の大事な友達なんだからね!」

 

なのが、また無邪気で罪深い……

この二人、実は考えが食い違っていようとも地味に割とはっきり意見を言い合うような、そんな本当に仲良しな関係なのに、一方でこんな罪深いやり取りしているの、とてもずるいと思います。

モカちゃん』と『ひーちゃん』なんですよね、この二人……

 

以上でケース③の話がおしまいです。

 

余計な話含めてここまで本当に話が長かったですが、個人的用途としては備忘録、それ以外としては一つの暇つぶしになれば幸いです。